お堅い話が嫌いな人は読まないで下さい。


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一日一生

天台宗大阿闍梨 酒井雄哉氏のご本。
前回の続編です。昨年九月に他界されたその三日前の最後の言葉も収められています。

前作『一日一生』に興味を持ったのは、酒井さんが比叡山での過酷な行、千日回峰行を満行した方だからです。

比叡山の峰、谷を一千日巡り、礼拝し続けます。その間歩く距離は地球一周分(4万キロ)。途中リタイヤが許されぬ為、行者は短刀をたずさえ祈り捧げます。クライマックスとも言える「堂入り」は700日目から行うまさに生死をかけた修行。堂に九日間籠り、断食、断水、不眠、不臥で法華経不動明王の真言を十万偏唱える。死臭が漂い、瞳孔が開くという荒行。

この千日回峰行を酒井大阿闍梨は2回も満行されています。記録の残る比叡山400年の歴史の中で2回成し遂げた僧は酒井さんを含め3人。

ところが、

読むととても普通の方です。意外にも俗っぽいところがあり、普通のおじいちゃん。最初は肩すかしにあった感じなくらい。
2度挑んだ理由も『それしか知らないから』

随所にどのような気持ちで行に入ったか、最中の気持ちなども非常に素直に語ってくれています。普通の人と同じように頭がパニックになったことや、後悔してしまったことなども語られている。
が、やはりそれでも満行したわけです。

この酒井さんが話してくれた中で、僕の仕事にもとても役立つお話しがありました。

それは仏教の【身口意三業】(しんくいさんごう)と言う言葉

酒井さんが「常行三昧」と言う行を始めて直ぐのこと。お堂の中をずっと歩き回りながら90日間念仏を唱え続ける行ですが、その初日で頭の中がパニックなったそうです。ふくらはぎがパンパンに腫れ、歩くのもうまく行かない、気持ちも荒れる。『これであと89日、88日、残されてる日数ほんとに出来るんかいな。出来もしないのに自分からやるって言ったから、、』

その時に思い出したのが師匠の「呼吸だよ」の言葉。
呼吸が乱れてくると、体が疲れてくる。体が疲れると呼吸が乱れ、口の中がカラカラになって声が出なくなる。まず呼吸が落ち着いてくると、念仏が唱えられるようになる。すると、だんだん心が落ち着く。体も動く。
呼吸、心、体、身口意三業。

困難やパニックになりそうなときはまず呼吸を落ち着かせる。そう言った奥義のように感じました。

追伸、ダイビングでもますます呼吸が大事ですね。もし、海でヤバい!と思ったらこのことを思い出して下さい。そんなことが自分に起こるとも思っていない、そこのあなたへ。

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